あらゆるモノに備わっている電気エネルギー
子どもの頃に、あらゆるモノは(元素の)原子が結合して分子をつくり、その元素の性質や結合の仕方によって個々のものができていると教わりました。でも、原子は物質の最小単位ではなく、原子をつくっているさらに小さな単位があります。
例えばニンジン。1本のニンジンを半分に切り、また半分に切り、また半分に切り…を眼に見えなくなっても続けていくと1個の原子にたどり着きます。
さらにその原子の中を覗くと中心部に原子核というものすごく小さなユニットがあります。陽子(ようし)と中性子です。陽子と中性子がくっついて核をつくり、その周りを電子がまわっています。またそれ以外の部分は空洞になっています。いえ、見たことないですが…。
この原子を構成しているものの単位を量子(りょうし)といいます。あらゆるモノの極小単位で、電子・陽子・中性子のほかにも光子とかいろいろあるみたいです。
電子はマイナス(―)の電気をもち、陽子はプラス(+)の電気をもっていますが、元素によりその数は決まっていて、何も作用しない普通の状態(その物質が安定して存在するとき)では、電子と陽子の数がつり合っています。
つまり量子が集まって出来ているこの世のすべてのモノは、その場で電気を帯びていなくても電気エネルギーを内包して存在しているのです。人間も、牛も、チューリップも、スマホも、水も、空気も、電気を通さないプラスチックでさえも…。
このうち生命体の内部では、何も作用しない状態はあり得ず、物質が絶え間なく化学変化を起こしています。例えば、人がご飯を食べると、意識していなくても脳の神経システムが電気活性を起こして消化酵素を送り込むよう司令を出しています。そしてその酵素の作用により、食べたものは化学分解・合成されて別の物質に変化しますが、このときも電子のやりとりがあります。
健康な状態のときは、まるでコンピュータで計算されたようにすべてのバランスが保たれています。体という化学工場は年中無休で、そこでは絶えずエレクトロン(電子)が関わっているのです。おかげでちびっこの骨が成長したり、ゆうべ食べたご飯が消化され、朝スッキリ…というわけです。
一方、生命活動を行わない物体はどうでしょうか。こちらも量子でできているので電気エネルギーを内在させているといえます。例えば、水素と酸素に熱を加えることで水ができるように、外部からエネルギーを加えることで変容します。なお、物質が電気を帯びるのは電子が離れてプラスとマイナスが釣り合わなくなった状態(電荷)で、油やプラスチックなど、電子が遊離せずにしっかり原子に結びついた物質は電気を通しません。
そこで、ひとつ気になるのは、同じ材料・同じ工程で出来たモノでも、精魂込めてつくられたモノとそうでないモノは伝わり方が違うような気がしますし、また同じモノでも受け手によって感じ方が異なることです。